近年、相続対策としての「相続放棄」に静かな関心が寄せられています。債務を抱えて亡くなる高齢者が増える中で相続放棄は増加傾向にあります。裁判所の司法統計によると、平成23年度中に家庭裁判所に持ち込まれた相続放棄事案は16万6463件と、20年前に比べて3倍以上となっています。
平成25年度税制改正の基礎控除引下げにより相続税の対象者が拡大することで、相続放棄の件数は更に増えるものとみられますが、間違いやすいポイントも多いので注意が必要です。
例えば、相続放棄があると相続人数が減るため、相続税計算で控除できる基礎控除の額が変わってくると思いがちですが、これは間違いです。相続税の基礎控除は「5千万円+1千万円×法定相続人数」(現行)とされていますが、ここでいう「法定相続人数」には相続放棄した人も含まれます。
相続税の基礎控除引下げは平成27年1月以後の相続から適用となります。相続税対策の一環として相続放棄を検討している場合は、負債も含めた資産状況を把握し、税務上の取扱いを整理しておく必要があります。
編集 中曽根