民法改正に伴う債権消滅時効の見直し

「民法の一部を改正する法律案」が、本年5月26日に成立しました。これは、民法の債権関係に関わる法案であり、1896年の民法制定・公布以来、約120年ぶりの大改正となります。

 

債権消滅時効の見直し(消滅時効の統一)

改正内容…

現行民法では、「債権は10年間行使しないときは消滅する」とし、職業別短期消滅時効(下記参照)を規定し、規定外の税理士や公認会計士等の報酬の時効は原則10年が適用されています。

この職業別短期消滅時効を廃止し原則に一本化するとともに、

原則も見直し、

①債権者が権利を行使することができると知った時から5年間行使しないとき 

②権利を行使することができる時から10年間行使しないとき 

のいずれかに該当するときに債権は時効によって消滅するという改正がなされます。

①と②いずれかとなると判断が難しいかと思いますが、契約に基づく履行請求権等、通常債権者はそのことを認識している為、原則的な時効期間は債務の履行期から5年ということになります。

 

また、この民法の消滅時効の規定が整理されることに伴い、当該規定の特例である労働基準法115条の 賃金債権等に係る消滅時効についても、その在り方の検討を行う必要があるとされていますので、賃金の請求権2年、退職手当の請求権5年という消滅時効についても、今後の改正が注目されます。

 

*参考

現行民法における債権の消滅時効

運送賃に係る債権…1年

旅館の宿泊、飲食店の飲食料等…1年

弁護士、弁護士法人等の職務に関する債権…2年

生産者、小売商人等が売却した産物または商品の代価に係る債権…2年

医師、薬剤師等の診療や調剤に関する債権…3年

工事の設計施工管理に関する債権…3年

企業間商取引…5年

司法書士、税理士、公認会計士、マッサージ師などの報酬…10年

 

編集 堀内

 

 

 

 

 

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