政府は、故郷や応援したい自治体を財政面で支援する「ふるさと納税制度」を2015年度から拡充する方針を固めた。居住地における税金軽減額の上限を倍にすることや関連手続きの簡素化が柱。政府関係者が7日、明らかにした。安倍晋三首相が掲げる「地方創生」に向けて設置する「まち・ひと・しごと創生本部」で検討。年末に取りまとめる15年度税制改正大綱に反映させる。来年春の統一地方選をにらみ、地方重視の姿勢をアピールする狙いがある。
ふるさと納税は、現在の居住地以外の自治体に2千円を超す額を寄付すれば、居住地の個人住民税や所得税が控除される仕組みで、08年に始まった。
年収や世帯構成に応じて控除額は異なるが、現行では住民税の約一割が上限となっている。これを約二割とする方向だ。
また手続きに関し、制度の利用者が控除を受ける場合、現状では寄付の翌年に確定申告する際に、寄付した自治体の領収書を添付する必要がある。この点を見直し、寄付を受けた自治体が領収書を、国を含めた関係先に送付するような仕組みとするなど簡素化を検討する。
税収減の恐れがある都市部では批判的な意見も少なくないが、総務省は「住んでいる自治体の減収分は、国が交付する地方交付税で配慮される」としており、影響は軽微にとどまる見通しだ。
編集 小口